骨盤底筋トレーニングをしても効果が感じられない場合
いろいろ原因がありますが、私は以下のことがあげられると考えます。
- 正しい動きができていない→効果的な方法、正しいやり方を習得しましょう
- エクササイズが継続できない→効果がでるのに時間がかかります。できれば3か月、最低でも2週間は続けてみましょう
- 全体的に筋力不足→なんでもいいので運動習慣をとり入れてみましょう
- 骨盤底筋に負荷をかけない日常生活の改善が必要→便秘、姿勢、体重増加、重いものを持たないなど多数
- 他の原因があるかも→医師の診察をおすすめします
それでも効果がでない場合があります。今回はそんなお話です。
私の骨盤底筋トレーニングヨガの指導をしてくださっている高尾美穂先生は産婦人科医師であり、
音声の情報発信をしておられます。
その番組あてに
「ヨガインストラクター、バレエ歴40年だけど骨盤底筋エクササイズの効果がでない、手術を考えています」
というレターが届き、高尾先生がお答えしていました。
高尾美穂先生のリアルボイス(この番組超おすすめです!)
https://stand.fm/episodes/5f6223a88ef87b9f0345e678
興味ある方は是非音声を聴いてください。
内容を一部文字起こしし、編集して引用させていただきます。
(聞きとり間違いがあるかもしれませんがご了承ください)
女性の尿失禁の7割が腹圧性尿失禁だと考えられています。
腹圧性尿失禁とは、咳くしゃみ、笑う、重いものを持ち上げる、走る、飛んだりする、子宮の摘出後に尿もれが始まった、出産、妊娠中、閉経、肥満、太ってくる、といったリスクというものが知られたりしていたりもします。
骨盤底筋の筋肉のダメージによって、膀胱とか尿道とかをきちんと支えられなくなって尿道をうまく閉じられなくなるために起こる、ということが腹圧知られているかと思います。
今お話したように原因というのは骨盤底筋や靭帯、結合組織。この辺りの弛緩や筋肉のそもそものダメージで起こります。
一番大きな影響が妊娠出産、肥満、閉経にまつわるエストロゲンの分泌の低下、加齢性の変化、
そして日常的なものとしては、便秘でいきむこと、慢性的な咳やくしゃみをする状態、何か重い物を持ち上げるようなお仕事がリスクであると知られています。
これに対する治療としては骨盤底筋エクササイズがまずオススメしたいことであり、直接的なトレーニングができるのであればそれが望ましいでしょう。
そして間接的に骨盤底筋に刺激を入れる方法として、股関節を外旋させるような動き、内閉鎖筋を介した骨盤底筋の収縮だったり、臀筋を使う、内転筋を使う、この辺りというのがおすすめできることなのかなと考えています。
骨盤底筋に対するエクササイズ以外には一つお薬、飲み薬もあります。
女性ホルモンの治療はどうでしょうかときかれることがあるんですが、尿失禁に対する効果はないとされていますので、エストロゲンの補充によって尿失禁の改善というのはそこまで期待ができないでしょうと考えられています。
海外では尿道の周りに注射をするような形で治療する方法があったりするわけですが、この辺りっていうのは日本に取り入れられていないので保険適応では扱えるものがないというのが実際のところです。
となってくるとそれ以外の治療方法は手術ということになるわけです。
大体2泊3日ぐらいの手術で、わりと漏れる尿量が多い方でもスッキリと治るということがある程度期待ができる、90%ぐらいの方でうまいこといくよということが報告されていたりもします。
開腹手術ではないので、実際のところはの歯の矯正手術と同じようなイメージで体の外側に対する何かの操作だけで終わる手術だよというところも少し手術に対する抵抗感というものが減るかもしれませんね。
※TVT手術とかTOT手術というような呼ばれ方をしていると思うんですけれども、TVTとはテンションフリーバジャーナルテープとよんでるような尿道の下に1センチくらいのテープを巻き込む形で、尿道が過度に動いてしまうことを防いで尿失禁を防いでくれる。このTVT手術は尿失禁に対する治療効果が高いということが知られていますが、TOT手術は安全性が高いということも知られたりしています。
なので尿失禁に対する手術をものすごく避けるということも、実際のところはまぁそこまで避けることでもないよということを知っていただけたらなぁと思うわけです。
こんな手術が向いている方っていうのは
まずは漏れる尿量が多い、骨盤底筋に対するエクササイズを続けてきたとしてもなかなか効果が認められない、日常生活はそんなに漏れないけれど尿漏れがあってやりたいスポーツなど旅行とかこういったものができずQOLが下がってしまうと感じておられる方、こういった方にお勧めできるかなーと思ったりもしています。
ご相談者は47歳、ヨガインストラクター、バレエ歴40年、経膣分娩二回うち鉗子分娩一回、出産後尿もれが続いている
現在47歳で高齢者の尿漏れのグループに入っていってしまう可能性が高いと考えると手術の適応になってもいいんじゃないかなーと思ったりもする訳ですね。
漏れる量が多い、15ccのパッドがいっぱいになる、ということを言ってくださっておられますので、QOL下がる理由になり得るよね。
バレエとかトランポリンとかアクティブに体を動かすことを続けてくださっていますので、体を動かさないよりも全然いいよねっていうことは正直その通りだと思っていただきたい訳ですが、バレエをしていて外旋筋をトレーニングしたものの、それよりもやはりダメージが大きかった可能性が高いのかなと。
鉗子分娩っていうのがリスクなんじゃないかというふうに書いてくださっていますけれども、まぁその可能性は高いかもしれません。
腹直筋離解の程度、指2本分ぐらいというのは、そこまでひどく離解している状態ではないという判断でいいと思います。経膣分娩が二回でお1人目の分娩の際に鉗子分娩、機械を使って腟の中を通っているダメージ大きかった可能性が高いというような判断になるのかなぁと思ったりもしています。
ヨガ、もしくは運動によってこの骨盤底筋に対するアプローチが日常的にとりいれてもらえたらうれしいなとお伝えしている訳ですけれども、やはりそれでも効果が十分に期待できるかと言われると、そこまで症状が重篤な方でなければ、骨盤底筋エクササイズを2、3ヶ月続けることで7割ぐらいの改善が見込めるというようなデータがあります。
それでもやっぱりなかなか良くならないよという時には骨盤底筋エクササイズ以外の方法選択するというのも正直ありかなと思ったりもしています。
そもそも、まずこの尿失禁というもので受診をされる方というのが、男女合わせても尿漏れで悩んでいる方の3%前後というようなデータもあったりします。
これぐらいやはり話題にしにくい、相談しにくい、相談しても改善の見込みが期待できないよねと思えてしまうような悩みだったりするのかなと思うわけで、どうしても私たちのこのQOL生活の質を大きく下げる一つの理由になり得ますので、前向きな対策というものをとっていただくこともオススメです。
受診されるのであればある程度インターネット上でしっかり検索をしていただいて、それぞれの地方で、ギネウロコロジー、婦人科泌尿器科、女性泌尿器科とメインでうたっている、そういった所に相談されるのがいいかなと思います。あと最近東京では骨盤機能センターとかで検索していただくといいかなと思います。
今日は骨盤底筋エのエクササイズを続けていても尿もれが治らない場合の選択肢としての手術についてお話をしていました。
私達にとって、まず妊娠そのものが思い通りにならないものです。
そしてその後の分娩というものも、私たちは方法も選べないし、それによって受けるダメージというのも実際のところは、その場になってからしかわからないものになります。
どんな分娩を希望していたとしても、なかなかその希望に沿うことができないというのがお産になったりするわけなので、それによって体に受けたダメージというもので続くその後の何かしらの困ったことに対してできることがあればという形で答えをしています。
今回思い切っていただいたレターだと思います。
これからまだあと四十年は人生続きますので、前向きな選択をしていただくのもありじゃないかなと思っています。
ーー以上リアルボイスよりーー
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